困ったなとこっそりと呟いたのはコンボイだった。しかしその声は困ったようには聞こえない。
マスクを人さし指で擦ると金属のすれる音が小さく聞こえる。
そしてそれより小さく、消えてしまいそうな寝息が聞こえてくる。
コンボイの膝の上にはバンブルが居た。
最初は遠慮して座ろうとしなかったのだが、お願いだと頼めばおずおずと近寄り膝の上に座ってくれたのだから愛おしい。
それが今に至り、バンブルは気持ち良さそうに寝ている。
こてん、と首が揺れるたび起きるのではないかとハラハラし、楽になるようにと自分の腹の部分に体を預けさせ、落ちてはいけまいと小さな体を腕の中に引き寄せた。
苦しくは無いか、寝にくくはないかと寝ている相手を起こさないよう且つ寝心地が良いようするのは案外大変なものである。
そのときにコンボイはあの言葉を呟いた。
それはこの状況のことではあるが、自分がこのまま冷静にいられるかの方である。
コンボイははっと気付けばバンブルの寝顔をじっと見つめていた。
密着されたボディは互いの熱を感じあい熱くなる。しかし、それは心地良い温度である。
寝息は本当に小さくて、音声データとしてとっておきたいくらいだ。(だがそれは俗に変態と呼ばれてしまうだろう)
それに寝顔だって可愛い。もぞりと寝相を変える姿だって、無意識にボディに頬ずりされたときはスパークが止まりそうになる。(決して変態ではない、私は)
寝ている相手にあれこれするのは決していけない。
しかもこんな小さくて愛らしい相手に!
いけないことばかり考えて小さく悶えるコンボイのことなんかさておき、バンブルはそれを知らないままぐっすりとねむっているのであった。

◆◆◆

「よぉ、アストロトレイン」
名前を呼ばれた本人は相手の悪さに顔には出さないものの嫌というオーラを前面に出して振り向いた。
相変わらず皮肉雑じり笑い顔が気に食わない。
「なんのようだ、スタースクリーム」
こいつとはある事件いらい仲間とは言えず、どちらかというと表面だけの付き合いみたいになっている。
デストロンとかの前に、この前のリーダー争いでこいつを裏切る形をとったのだから。
「湿気た面してんなよな。基地の中まで腐る」
「うるさい。何のようなんだ」
自分がいらついてくるのが愉快なのだろう、にたりとした顔がむかついて仕方ない。
「なんでもねえよ、ただの挨拶だ」
「そんなもの必要ない」
「あっそ、もーしねえよ」
「ありがとよ」

*でも実際仲良しだといいな

◆◆◆

「何を聴いているんだい?」
「んー?」

ふらりと近寄り、話しかけてきた相手に対しての態度はなんとも間抜けだったと後にブロードキャストは思う。
すらりとした足元しかみえなくて、首を上げるとやっと顔が見える。しかし体勢がつらいからすぐに視線を落とした。
「興味あるの?トラックス」
「うん、いい曲が欲しくて君に教えてもらおうと思ったんだ」
「へーそりゃどうして?」
いつもなら此処まで相手に干渉することはない。けど今はどうしてか気になってしまった、それともなんとなく口にしてしまったのか。
トラックスは少し悩んでしゃがみこんだ。後ろの方で悩むようなうめき声がちょっとだけ聞こえてくるのは新鮮だ。
「今ね、ラウルとドライブの約束をしているんだ。そこでノリノリになれる曲があればいいと思ったんだ」
「へードライブ。あのラウルと」
「覚えているのかい?」
「もちろん」
なら何の曲がいいだろうと考える。
ロック?けどあまりガンガン派手なのより爽やかな方がいいかもしれない。けど一番大事なのは好みだろう。
「どういうのが好きなの?」
「誰が?」
「ラウル、それかトラックス」
「えっと・・・・・・」
「無い?」
「無いって言うか、よく分からないんだよね」
「なんでもいいの?」
「うん、でも頼むとしたら君のお気に入りがいいな」
「俺の?」
「うん、君のセンスはいいからね」
「あ、そう?」
「うん。だから教えてくれよ」
「OK,了解」

*途中放棄します。
◆◆◆

嫌いなところはしつこいところ。

「なあ、教えてくれないかい」
「嫌だっていってんだろっ!あっちいけ」
「だって君、凄く悲しい顔をしてる」
「してない!!」

確かに嫌なことはあった。
めちゃくちゃ不甲斐無くてむかついて、今にも破裂しそうなのにスカイファイアーがいるせいで出来ない。むしろしつこく聞いてくるから面倒だ。

「スタースクリーム、ほら。あの天体の話をしよう、君があのとき_」

勝手に話まで始めてしまう始末。もういい、このまま過ぎれば言いと黙っていた。
ずっとずっと話し続けるスカイファイアー。

いつの間にかその長い話を自然と聴いてしまう。

「_それでそれであのとき・・・」
「見つけた、だろ」
「ぁ_そ、そうそう!見つけたんだよ!!流石覚えていたんだね」
「当たり前だ・・・」

いつの間にか普通の会話になっていて、もうさっきの悩みはそんなに深く感じなくて。
嫌いなところはしつこいところだけど、裏を返せばそれは。

*好きなんだね(おい

◆◆◆

『ラチェットー、メンテナンスしにきたよー』
「ふむ、今回も遅刻なし、と」
『ねえ。おいらが遅刻するのこっそり楽しみにしてるでしょ』
「こっそりじゃなくて堂々と楽しみにしているが?」
『なんだよそれ、頑張って間に合わせてるのにさ』

バンブルビーにはいつも決まった時間にメンテナンスに来るようにラチェットが言っている。
しかも、もしメンテナンス時間に遅れた場合は楽しい楽しい罰ゲームを受けなければならないというペナルティを決めた。
案の定バンブルビーが遅刻したことは未だ無い。今日も同じ時間に来て、いつものように診察台の上に伏せて待つ姿。
足を忙しなくパタパタ動かすのも落ち着き無い性格が出ている。
『今日は何処見るの?」
「いつもと同じだ」
まず全体を隈なく見る。先ほども言ったように、彼は落ち着き無い。だから一日ずつ違った傷を作ってくるのがいろんな意味で天才だった。
今日見つけたのは頭の部分の凹み。どうしたのかと聞くと、話は長かった。
アイアンハイドとジャズが多分(下らない)言い合いをしていて、それを止めようとしていたオプティマスを2人が『こいつにガツンと言ってくれ』と頼もうとして出した腕が勢いがよすぎてオプティマスに当たり、ふらりと来たオプティマスの胴体がバンブルビーにあたり、バンブルビーはそのままコンソールに衝突した、らしい。
「ならコンソールもへこんでいるだろうな」
申し訳無さそうにバンブルビーがこくりと頷く。あとであのお騒がせの2人に叱咤すべき、と思いながらバンブルビーの頭部の修理にかかる。
「全く、お前が傷をつくらない日は無いな」
『そうかなあ』
「じゃあ作らなかったのはいつか言えるのか」
「     ワカンナイ  今日頭打ったから忘れちゃった  』
「とぼけるな、システムに異常ないのは把握している」
『ごめんなさい』
素直に謝るところは可愛いのだが、といえばいじけるようにそっぽをむかれる。
「では、メンテナンスを始めようか」
『はい、先生』

*ただはい先生って言わせたかった、だけ。

◆◆◆

オプティマスの葛藤。

「・・・・・・」
今、非常に、どうしようもなく焦ってしまう。
それが何故かと説明すれば、今の状況を説明しなければならない。
『どうしました、オプティマス』
「あ・・・なんでもない」
?というようにバンブルビーは首をかしげる。
今、オプティマスが胡坐をかいいている膝の上に、バンブルビーが向き合うように座っているのだ。
なので胸元にはバンブルビーの頭が、稀にピコピコと動く耳が胸の窓ガラスをこする。
掌はしっかりと腰を掴んでいて、滑らかな太ももはきゅっと自分の足を挟む。
上目遣い+首を傾げられ、しかも今のこの状況とは。
危うい。
いくらなんでも、焦る。
前にラチェットが「時には違う世界に訪れるんですよ」と意味ありげにいった言葉を思い出す。
葛藤している自分の様子に気付くはずがなく、バンブルビーは穏やかに膝の上で楽しそうにくつろぐ。
腰に回した手を離して、オプティマスの膝の上に乗せる。
『オプティマス』
にこやかに微笑まれれば、いとおしい笑顔に危うい感情を出してしまう。

オプティマスの葛藤は続く。

*もんもん。

◆◆◆
ある日、ビーに洗車をというものを家でしてあげた。
そのときのこと。

真っ青な空の下で、鮮やかなイエローのボディカラーの車が冷たい水に濡れる。
暑い日ざしと共に、ノリノリなロックミュージックは悪くない、むしろテンションをあげる。
「よし、じゃあビー、いいかい?」
ラジオからはどこかのDJの声で『それじゃあいってみよう』と流れる。
ふわふわに泡をたてたスポンジ。
無理にこすらないように、優しく車体に撫でると急に電子音がなった。
「どうしたの!?やっぱり嫌だった?!」
すると『くすぐったいきもちになるわ』と色気のある女性の声が響く。
「くすぐったいの?」
ロボットにもそういう感覚があるのかと思った。しかしここは我慢してもらわないと綺麗に出来ないため続けた。

そのときばかりはずっと、大人な女性の声しか流れてこなくなる。
流石にサムだって困った。
ただ洗車してるだけなのにこう良いボリュームでそんなものを流され続けられたら何事だろう、こいつはどんな趣味なんだろうと思われてしまう。
しかも、やたら怪しい気分になってくる、こう、ロボット相手でもだ。

*とちほ

◆◆◆

バンブルビーはオプティマスのキスが好きだ。
彼の背はとても高くて、自分は背伸びしたってその顔に届かない。
そんなときにオプティマスは身を屈めてキスをしてくれる。腰に添えられた手に引き寄せられるそのときも好きだった。
近くにいてくれるのだと、すぐに感じられるぬくもり。
今日もまた、彼からのキスをもらいにいく。



オプティマスはバンブルビーのキスが好きだ。
彼の背は自分に比べてしまうのとちても小さい。そんなときは身を屈めて顔を寄せ合う。
しかし、そのときに精一杯背伸びをして腕をよせる姿がとてもいいもので、細い腰をひきよせればもっと近くで微笑んでくれる。
今を過ごせる幸せが、じかに感じられる。
今日もまた、彼とキスをしよう。

*身長差萌という

◆◆◆

注意:指令官変態祭り



『オプティマス!オプティマス!』
どたどたと、これがバンブルビーだから周りが地震だ!!と騒ぐ程度だがいいが、廊下は走っていけないと教えると素直に返事を返す。
「どうしたんだ、バンブルビー」
『あのですね!その、えっと』
興奮しているのか、そわそわとしているうえメッセージも途切れ途切れに伝わってくる。
それが可愛くて思わず前から抱き上げた。
すると合わなかった目線がバンブルビーの方が上になり、腕でバンブルビーの臀をよいしょと支えた。
『今日、なんとサムがおいらに洗車してくれるって言ったんです!だからだから』
少しばかりバンブルビーの羽が腕にあたり嫌な音をたてるが気にしない。
バンブルビーだって夢中で話している。
うんうん。
そう頷きながらオプティマスはバンブルビーの胸に顔をうずめた。
そして抱っこしている腕でバンブルビーの腰をやわやわと撫でる。
ふっ、とバンブルビーは息を漏らすが、未だ話に夢中。
オプティマスもうんうんといいながら、夢中だ。
話はもちろん聞いているが、どちらかと言うと、こう、あれだ。
これは部下とのスキンシップを図るためなんだ。
そう、生命体すべてはスキンシップが大切なのだから。
正当化した言い訳のせいか、オプティマスの行動はエスカレートする。
腕で支えていた小さな臀を撫でたり、まあ やわやわと。
それに対して純粋で無垢な部下はされていることに疑問は無く、ただくすぐったさと何ともいえない熱が感じられるのに戸惑うだけで。
上司なんかその反応に煽られて、弄られ放題の体を大胆に寄せる。
『オプティマス』
暫くして、バンブルビーが話を中断して名前を呼ぶ。
夢中になりすぎてはっと顔を上げて、もう気分は好調。
見下げられるようにバンブルビーの視線はうつろにオプティマスを映していて、戸惑いと快楽に揺れる瞳。
『おいら、なんだか変な気分 なんです   これから    洗車に連れて行ってもらうのに』
「おおそれは大変だバンブルビー気分が悪いならば休まなければ。
家に着くまでに事故にあったらしかたないうむしかたないのだから
それにそれは気分が悪いんじゃなくてきっとまだどうしていいかわからないだけなんだ
いや決して疚しい意味じゃないんだぞだから私の部屋でゆっくりしていきなさいゆっくりかわからないがきっと気持ちいいのは確かだ保証するだから」

何をいってるか分からなくて、進められるがままに頷いてしまえば運のつき。
「ではさっそくサムに知らせなければ」

バンブルビーが朝まで帰れないことを。

*まじイメージくずしてごめんなさい

◆◆◆

ランボルがサンストリーカーの肩を離そうとするが、あまりの力の強さにそれは出来なかった。
「っ、サンストリーカー!!」
思わず力ずくでやろうとしたら、サンストリーカーの腕の塗装を傷つけてしまった。
ガリッと嫌な音が離れなくて、何をされるか分からず恐怖で身がかたまる。
サンストリーカーの目が傷跡からこちらにうつる。
言葉が出ない。
どうしよう、どうしようとリフレインする言葉。

「集中しろよ、ランボル」
「ぇ_あ、っ」

*サンストはランボルに傷つけられたなら平気なんじゃないか?
 てか切羽詰まって←爆 たから気にする暇なかったんじゃないか?

◆◆◆

「どうしたんです、ボス?」
「なんでもないわい」

ごろりと、破壊大帝の膝の上に寝転ぶのはスタースクリーム。
けらけらと笑って楽しそうに笑う姿は普段の反抗心むき出しのときとは全く違う。
先ほどメガトロンの自室に足を運んできたので、晩酌に付き合わせた。そしたらすぐによって、こんな風になる。
こんなに素直になるものだからメガトロンはスタースクリームの好きなようにさせてやった。
「メガトロン・・・メガトロン」
指を絡ませる。
「呼び捨てか」
「めがとろんさまー」
くすくすとなんとも気持ちよさそうに笑う。いつもこう忠実であればいいがと心の隅で思う。
「おれはあ、絶対あんたのこと倒してたるぜー」
「いい度胸ではないか」
先ほどの忠実という言葉を訂正したい気持ちで話を聞いてやる。
「それで、俺が、ニューリーダーになる_」
「倒せるのか」
「わかんねーよ、でも、でも」
「何だ」
そろそろ眠気がまわってきたのか。おとなしくなって来る。
「たおさなきゃ、さ、みとめてくれないから」
「・・・・・・」
「だから、さ・・・・・・」

すーすーと寝息が聞こえてくる。
メガトロンはまだカップに残る酒を一口流し込んだ。

「ならば認めさせてみろ、愚か者めが」

なんだか酒が、いつもより甘く感じた。

*ノーコメ

◆◆◆

*周りの目は気にしない@

『ねーラチェット、お願いだよ』
「そんな可愛く甘えても駄目だ」
『おいら、かわいくなんか甘えてない』
「では元々可愛らしいということにしといて、ほら、諦めなさい」
『ねーってばっ』


「・・・・・・なあ、アイアンハイド」
「・・・・・・」
「はたかりゃみりゃ、アレは2人でいちゃいちゃしてるだけに見えるんだが」
「気のせい、だろ」
「いや、俺の蜂向けセンサーが危険信号だ」
「お前のセンサー、軍医に治してもらえ」
「無理だ、改造させられちまう」



そのA

アイアンハイドの通信チャンネルに1本入ったメッセージ

(今から会いにいってもいい?)

相手はバンブルビーからだった。周りには仲間がいたのでこっそりと相手に返事を送る。
(どうした、何かあったのか?)
暫くして返事がかえる。
(何も無いよ)
(でも アイアンハイドに会いたいなあって思ったから)
(無理なお願いしてごめんね)
ぽつぽつと届く相手の気持ち。
アイアンハイドは溜息をついて、さっと返事を返した。
(今日お前の所まで行くから待ってろ)
するとすぐに。
(ほんとうに?嬉しい!)
それを受けとり無意識に口の端があがる。


「おい、仕事中だぞ」
「・・・・・・うぉっ!?な、なんだラチェット。勝手に入るな!!」
「勝手に2人の世界を作って欲しくないんだがね」
そんなんじゃない、といいつつ。
アイアンハイドは今日は早く仕事を終わらせなければと無意識に考えていた。



◆◆◆

コンボイはごくりと喉を鳴らした。いや、それは人間しか表現できない描写であるが、例えれば匹敵する。
マイスターといえば微笑んではいるがバイザーの奥の目は分からない。兎に角怪しいオーラがでている。
そんな風になっているとは知らず、ただ無我夢中に没頭する仲間が一人。
そしてコンボイとマイスターの目線の先はこそにある。

「ぅ、んんっ、く、ふぅ、っ・・・」

小さな両手で丸い瓶を持つ。
中身は乳白色、それは普通ならショッキングピンクに輝くエネルゴンだが、今日は一味違う。
口に入りきらなかったとろりとしたエネルゴンは小さな口の端をつたい、そしてそのまま掌や胸に落ちる。

ただ飲んでいるだけとはいえ、洩れる声は酷く甘い。
そして瓶を口から放すとつたう一筋の線に目が釘付けになる。

「コンボイ指令官」
さっきに口を開いたのはマイスターだった。しかしどちらも互いに目はあわせない。
「何だマイスター」
「いや、なんでも」

*エネルゴンキューブが白だったときの。

◆◆◆

『こちらアストロトレイン。メガトロン様、応答を』
「どうした、何かあったのか」
『はい、それが・・・・・・』
音声通信から聞こえる相手の声はいつもの強気な声ではなく、どちらかというと困惑したような声である。
映像がないので何があったかは本人の口から聞かないと分からない。早く答えないとこに苛立ちを覚え、答えをほだした。

◆◆◆