◆◆◆
飴をもらった。
ころころと下で転がすと苺の甘酸っぱさが頬にしみるようにじわりとする。
本当は蜂蜜レモン味がなめたかったのに、とほんの気分違いにバンブルは喉を鳴らした。
すると後ろからマイスターが声を掛けてくる。
返事をすれば甘い香りがするものだからマイスターはバンブルの目の高さにしゃがみ、覗き込む。
「甘い香りがするね。どこからかな」
くすりと笑う顔は、大人だ。子供みたいに無邪気なところがあるのに、やっぱりそこはマイスターらしい。
バンブルはどこでしょう?と首をかしげて答えた。答えなんてどちらも知っているのだから。
うん、大人と子供。でも、中身なんて分からない。
「じゃあ私が当てて見せよう」
「どうぞ、マイスター副官」
首をかしげて笑って茶化せば。
大人なキスがふってくる。
吐息にのりあまい香り。
どこからするの?
二人からするんだ。
大人子供。
今じゃそんなこといえないし。むしろ、今じゃそんなこと考えられない。
*ふしぎなところばっかな文。
◆◆◆
クリスマスなんて嫌いだ。
そんな周りから見れば哀れで哀しい言葉を平気で思うスタースクリームの姿。
そんな今日はクリスマスから1日過ぎたころだった。
ぐいっと被っていた保温シートを引き寄せぶかりと羽織る。にじむ視界に悔しくて上がる声を出さないようにと唇をかんだ。
「馬鹿大帝」
ぽつりと聞こえた悪口。
聞こえないように、大声で叫びたいけれど目からなにか溢れそうで、やっぱむかついて。
ぼそりと言いまくる。
「馬鹿、馬鹿親父じじぃくそったれへなちょこ野郎・・・・・・」
「誰がだ」
「くそメガトロンだよ」
「ほぉ、くそ。か」
「あぁそうだよって・・・・・・・・!!!!!」
一気に顔を上げ驚きのあまりシートをなげすて後ずさりすると、ばふっと投げたシーツが何かにあたる。
「め、mっめ、がと、ろ・・・」
「馬鹿でくそでへなちょこで、よーくいってくれたな」
「き、聞いてたのか!?」
「お前がぐすぐすしてるときくらいか?」
「!!!」
もう何もいえなかった。悪口を聞かれたことよりぐずってるところを見られたことが相当ショックだったのだ。
言い返す言葉を嗚咽でもれないようにこらえていれば。
「ほら、やる」
「な、なんだよっ・・・」
こつんと頭に落ちて大げさに痛さをあらわした。文句をつけてやろうとして見たものは。
「まだまだ餓鬼のくせに大人ぶりよって・・・貴様にはこれがちょうどいいわ」
「う_」
小さな小さな箱。
何が入っているのか、振ればかたりと音がなる。
「う〜メガトロン様ぁ」
「泣くな愚か者め」
クリスマスなんて嫌いだ。
けれど今なら、1日送れのお祝いを祝えるかもしれない。
*結局甘いんです(笑
◆◆◆
ちょんちょんと、足元をつつかれる感覚になんだろうかと顔を下げれば、バンブルが此方を見上げていた。
どうしたのかと聞く前に。
「抱いてください、司令官」
「jふfvふbぽwf!!?」一気に口から体のありとあらゆる水分がでたんではないかと思うほど驚きむせてしまうコンボイ司令官。彼の頭の中はこうである。
(な、何なんだこれは夢か天国かそれともあまりにも彼に対する妄想が悪化してついに思考が犯されたのかけれどこれはっ!!)
思い切り自分で殴ってみたらもちろん痛いわけで回線一本もってかれたっうくらい痛かったそうです。
そのせいで。
「是非抱かせてsふぼぁ!!!」
「司令官!?」
おーう何がおこったんだ!?コンボイ司令官の回路を、バンブルの危機を救ったのは。
「ふう、バンブル大丈夫か?」
「副官、駄目じゃないですかっ!」
「HAHAHAすまない」
・・・ごめんなさい司令官。たまにはこういう変態でいてほしいんです、稀にでいいですから。
「もー副官、司令官に抱っこしてもらえなくなっちゃったでしょ!」
「いいんだよ、そうだ!私が抱いてあげよう」
「ほんと?たかーく抱っこしてください!!」
「いいぞーやさしーくしてあげるからな」
あれ?二人とも多分話しずれあってません?
あれ?
早く司令官起きた方が・・・。
*抱いてって・・・。
◆◆◆
薄暗いシステム室の修理を始めてけっこういいほど経ったころ。オイルやらごみやらで真っ黒に汚れてしまった姿を確認しにきたのは生真面目な武器のスペシャリストであった。
「ずいぶん酷い姿だな。てっきりあのあちゃらけた奴かと思ったが」
『あらあらアイアンハイド。そんなことっていいの?』
「いい」
ふん、と冗談だというように排気音を鳴らして見せたが地獄耳のものにはその行動が見えなかったらしい。ずんずんとおくから荒い足音が聞こえ下をむけば。
「おいおいそこのデカ野郎!!そのおちゃらけた!酷い姿の奴とは誰だ?!」
「お前だジャズ」
「くそー!!いい気にになりやがって!俺のこの姿が酷いだと!!」
ぎゃーぎゃー騒ぐジャズの姿をみて、くすくすとバンブルビーは笑みをもらす。
「なぁバンブルビーも言えよ!こいつ酷いよな!!」
『ううん』
「お前もかっ!!」
きっと否定してくれる仲間がほしかったのか、煤まみれの仲間にだした助け舟はあっさりと流されてしまった_かのように思えたが。
『だって、おいらジャズ見たいっていわれたんだよ?とっても嬉しい』
にこりと、頬の汚れを手で拭いながら嬉しそうな姿を見て本気で照れる副官と。みてるこっちが恥ずかしいとさっきとは違う誤魔化すような排気音をだすアイアンハイドであった。
*バンブルビーの笑顔は天使(おい
◆◆◆
「なぁ、着て欲しいコスプレってあるか」
『はぁ?』(その場にいた全員の疑問)
「あるだろ?こう、人間達もよくやるじゃないか、萌え!!って」
「あーあるある。俺見たことあるぜジャパンで」
「だろーだから着て欲しいのあるかって」
「お前にか」
「いや、俺じゃなくて好きな奴にだよ」
「好きな奴・・・(以下リジェ妄想スタート!!)」
『なぁ、リジェ?』
『ハウンド・・・可愛いよ』
ひらりとひだが多いチェックのスカート。薄いブラウスに赤いリボンがついていてぴったりとハイソがまとい愛らしい。
恥ずかしそうに袖をつかみながら、ちらりとリジェを上目目線で見つめた。
『あの・・・似合わなくて、ごめん』
『そんなわけないだろ?こんな可愛いのに』
するりとスカートに手を伸ばして_
「いい!!セーラー服いい!!!」
「うぉっ、リジェが妄想から返ってきた!!!」
「俺ちょっといってくるよ!!」
「お、おい!待てリジェー!!!」
THE無気力の彼がこんなになるなんて・・・と周りはリジェの妄想力の大きさに驚いた。
「ふぅ、んでそちらは?ラチェット」
「ナース服で」
「早っ!どうしてだよ?」
「そりゃあもう、ホイルジャックがナース服をきて私の助手なんかやっていたら驚きだろう?いつもなら私が手伝うほうなのに素直に私の命令に聞いてくれるんだ。
それにあの清楚な服装なのにいったん触れてしまえば嫌と分かっていても反応してしまい私の白衣の袖をつかみながら必死にたえようとする姿がいじらしい・・・それに」
「あのラチェット、これ以上だともう規制かかるから止めよう。その先の展開はいらない」
「てかホイルジャックにナース服妄想しても俺らあのがに股でなんかおっさん丸出しの姿しか想像できない」
「ラチェットの想像力すげぇよ」
「よし、あとで皆私の実験につきあえ(笑」
「いや!!目が笑ってないよ!ごめんよホイルジャック似合うよ!可愛いかわいい!!」
「・・・渡さないぞ、彼は」
「いやそんな気ありませんて。まぁそれはひとまず・・・サンストリーカーは?」
「俺?俺がコスプレ?」
「話聞いてろ、相手にだよ」
「相手にかぁ・・・(妄想スタート!)」
『おい、ランボル』
『っく_』
きつくきつく結ばれた首輪。視界を遮る包帯に手足の自由を奪う枷。真っ白な拘束服がよく似合う。
『お前はここから出せない、この俺からもだ』
『何を・・う、はっ_』
「・・・拘束服とか?」
「えっ、それコスプレなのっ!!てかお前ら兄弟でそれって鬼畜だな!!」
「いいんだよ、兄弟だから」
「そういうもん!?」
「司令官はどうですか?こう、着せたいのとか」
「・・・・・・」
「あれ、司令官?・・・って、回路焦げてるよっ!!ぷすぷすいってるし!!」
「助けてあげてくれラチェットー!!司令官が妄想しすぎて回路トんでるぞー!!」
「はははっ、随分幸せな方だ」
「笑い事じゃねー!!!」
*司令官はバンブルのこと妄想しすぎて爆発しました。
◆◆◆
緩やかに流れるパステル色をした音楽。
薄水色の空が似合う音楽。
足取りが弾むような音楽。
「何を聞いてるんだ?」
「ご機嫌な音楽さ」
まるで君のような。
そんな音楽を身にまとう。
◆◆◆
ハロー!
片言でも、たったそれだけの言葉でいいから、好きだ!と君に言いたい。
アイラブユー!
恥ずかしいこと言っているって分かってるけど、やっぱり言いたい。
そしてそして。
そんな大好きな君の名前を精一杯かっこよく呼びたいなんて、思ったりもする。
◆◆◆
寂しがりやの癖に、一人でいたがる。
甘えたがりの癖に、自ら甘えない。
ちなみに、触られるのを嫌がる。
けれど、実はちょっとしたところもあって。
名前を呼ぶとすぐに振り向いてくれる。
最初は嫌がって拒むけど、やさしく撫でているとゆっとりとしてくれる。
そんな風だから、いいのかもしれない。
◆◆◆
『あれ、オプティマスは』
「奥にいるぜ」
『ありがとう』
用があったのか呼びされたか唯会いたかっただけなのか。
奥の部屋にいる司令官に会いに来たオートボットが一人。
軽い足取りで横切ろうとするその腕をとっさにつかみ、ぶれた体をさっと静かに受け止めた。
視線がぱちりとぶつかる。
『なぁに、ジャズ。用があるなら普通に呼んでよ』
「やだね』
嫉妬しているんだろう、自分は。
だから奥に行かせたくはないのだ、自分を差し置いてまで。
「行きたい?」
『そりゃ勿論』
早く、とせかすように腕をどかそうとされるが甘く見ちゃいけない。これでも強いんだから。
そう誇らしげに笑い、顔に似つかずあきれた表情をだしているバンブルビーの唇に勢いよく自分を重ねた。
びくりと震えるが、大きな抵抗はない。それもそうだ、この金属の壁一枚奥に会いたい人がいるんだから、騒いだらばれちまう。
もし本当にばれたとしたらどうだろう、俺には都合のいいことか悪いことか。
悪いに決まってる。
あぁ、けれど分かってくれよバンブルビー。
そう言いたい。こいつから見ると俺は極悪人だ。ここから離してもくれない、まして愛する人のすぐそばで捉えられてしまう。
そんなお前はされるがままのおとぎ話の可愛そうなお姫様みたい。
けど言いたい。俺から見るとお前は酷く罪深い。俺のことを気に止めず去ってしまう、お前が行ったら俺は壁一枚はさんで一人ぼっち。
あぁ、わかって欲しいなぁ。
そう思いながら、結局離してやって、最終的にバンブルビーを怒らせて。
それでもいいよ。
お前が俺のとこきてくれんなら。
*やっぱし悲しいプチストーリーを展開している。
◆◆◆
「スタースクリーム、暇」
「うるせぇ、仕事しろ」
「やーだね。俺はメガトロン様いないとやる気しねぇんだよ」
「くそったれが、おい、サンダークラッカーもなんとか言え」
「もうどっつでもいいから早く終わらせようぜ。俺はもう休みてぇんだ」
「あー今日晴れねぇかなぁーそしたら散歩行けんのに」
「これ終わったらな」
「うわっ、出来損ないのスタースクリームが真面目なことほざいてやがるっ!!」
「うるせぇこの影薄野郎!!てめぇはサイバトロンの軍医に蹴られてろ!!」
「なっ_!」
「ぎゃははは!!いいなその名言!!」
「てめぇもうるせぇ!メガトロン様の指示ねぇと動けねぇ大木がっ!!!」
「あー!!!ぜってぇゆるせねぇええ!!!」
「もう黙ってろ雑魚どもがーー!!!!」
*鳥の痴話げんか
◆◆◆
コンボイがラチェットの診察室に向かうと、そこにラチェット自身はいなかったが先客はいた。
診察台の上に横になり、縮こまるように丸まってすーすーと可愛らしい寝息まで聞こえる。
「・・・バンブル?」
ぼそりと小声で読んでみたが起きる気配は無い。横にあった椅子を引き寄せて静かに座って、まじまじと寝顔を堪能した。
小さく開いた唇。小さな手。そして幸せそうな眠り顔。
日々の疲れを癒してくれるような存在に改めて愛しさを募らせた。
ぷにっと頬を撫で、大胆にも頬を寄せたが起きはしない。どこまでしたらおきるだろう?いや、こんな寝ているのに起こすわけにはなんて葛藤したが悪戯心はむくりと湧き上がる。
*これ以上の司令官は書けなかった。
◆◆◆
変ヘン玩具の設定で、リジェがかっこよかったから書いてみた。
「あの、リジェ・・・」
呼び止めた言葉がいつになく震えていた。しかしぐっと掌に力を入れ、ハウンドは真っ直ぐにリジェを見つめるつもりだった。
「何だ」
「あの、次の任務」
「あぁ、それがどうかしたか?」
「え、っと」
また一人でいくのだろう。リジェはあまり多数行動をとらないのでハウンドは心配なのだ。
「怪我」
「けが?」
「するなよ・・・」
それだけ。
「分かった。有難う」
そういって。
見せたことの無い柔らかな笑みと。しゃがみこんで近づいた唇が。
いっそう好きになった。
*ハウンド可愛いよ。リジェかっこいいよ。
◆◆◆
「お前なんか嫌いだっ!!」
「あっそ、大嫌いで結構」
「っっ_!!」
喧嘩の発端なんてとてもくだらない事で、どうしてそのくらいで起るかよく分からなかった。
ただスカイワープに『お前ってメガトロン様がいないと何にも出来ないのな』って、冗談で言ったら本気でキれられたあげく大嫌いとまで言われてしまう。
此処はこっちが悪いと分かっているからいつもなら謝るのだが、ちょっとからかってたらアッチも本気になってくる。
だから、嫌いといわれても普通にあしらった。
すると。
「 ば ぅ 」
「あ?」
「・・・ばかやろう」
「! お、おいっ!!」
いきなりばかやろうと暴言を吐いたくせに泣き出しそうになっているのはスカイワープの方だ。
正直、泣かれるのにはなれていないし、しかもどうして泣く場面あったかおい、勘弁して欲しい。
ついにここまでこられたら折れるしかなかった。
「あーもう、悪かったよスカイワープ。もぉ言わねぇから」
「本当、かっ」
「嘘つかねぇよ、デストロンだから」
「・・・・・・怪しいじゃねぇかそれ」
「気にするな」
そういって頭を軽く撫でてやると、いつものようににまりと笑って。
「仕方ねぇなあ、大嫌い撤回してやるよ」
「あっそ、それで結構」
*スカワとサンクラの喧嘩(というかなんというか) 最初スタでやろうとしたけどスカワにしたらスカワキャラ違うようになった。ちょっと兄なサンクラ。
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